営業プロセス

【実例あり】電話でアポイントを取るコツ

テレアポが苦手だ!

という営業マンは、意外に多いのかもしれません。

とはいっても、アポイントが取れるかどうかは、かなりの死活問題です。

今回は、電話でアポイントを取る方法、通称「テレアポ」を取り上げます。

これまで、多くの営業マンを見てきましたが、テレアポのうまい人、下手な人というのが、確かに存在します。

視覚的な情報が伝わらないテレアポは、スキルの差がはっきりと結果に現れます。
テレアポが苦手という人は、まず自分のスキルを見直してみましょう。

うまくアポイントを取るためのポイントは次の5つです。

  • アポイントを「売る」
  • スクリプト(台本)を用意する
  • 二者択一話法でアポを決める
  • 断りにはブーメラン法で切り返す
  • 声のトーンとテンポを意識する

コツさえつかめば、誰でもテレアポの成約率をアップすることができます。

この記事では、5つのポイントの説明をした後、最後に実際のトークスクリプトを用いて解説をします。

アポイントを取るとは?

アポイント、の意味が分からないという人はいないと思います。

アポイントとは、アポイントメント(appointment)の略で、「面会や会合の約束」という意味。

つまり、アポを取るとは、面会の約束を取り付けるということになります。

ここで重要なのは、面会の約束とは具体的にどういうことか、です。

これは「日時」と「場所」を「確定」させることです。

「あたり前やん」って思った人は、テレアポがわかっている人です。

実は、これがわかっていない営業マンが案外多いのです。
たとえば、場所や時間はあとで決めることにしたり、とりあえずの「仮アポ」を取ったり…などです。

 

営業マン
営業マン
来週の月曜日の午後はどうでしょうか?
見込客
見込客
今のところ大丈夫ですけど、とりあえず、朝に一回電話もらえますか?
営業マン
営業マン
わかりました。では月曜日の朝に電話させてもらいます

これは、時間と場所が確定していません。

つまり、アポイントが取れたとは言えないのです。

おそらく、当日電話しても出てくれなかったり、話せたとしても「今日は予定が入ってしまって…」とキャンセルされる可能性が高いでしょう。

実は、日時と場所が確定したアポイントと、曖昧なアポイントでは、その「重さ」が違うのです。

アポイントの「重さ」とは、見込客にとっての重要度のことです。
軽いアポイントは、いとも簡単にキャンセルされたり、ドタキャンされたりします。

アポイントを取るとは、ちゃんと日時と場所を確定すること。
まず、これを明確にしておきましょう。

アポイントを「売る」こと

テレアポの目的は、「アポイントを売ること」です。

これには、2つの意味があります。

1つは、アポイント以外を売ってはいけないということ。

つまり、商品やサービス、あるいは会社や自分を売り込んだりしてはいけないのです。

テレアポでは、アポイントを取ることだけに集中すべきです。

やってしまいがちなのが、見込客の質問に対して、必要以上に答えてしまうパターンです。

ときには、ここぞとばかりに何かを売り込んだり、アピールしたりする営業マンがいますが、これは完全にアウトです。

もし、何か質問をされたら、たとえば、次のように切り返してアポ取りにつなげます。

それについては、お会いしたときにお話させていただくつもりです。

 

2つ目は、アポイントは「もらう」のではなく、「売る」ものだということです。

「売る」という言葉に、違和感を感じるかもしれませんが、アポイントは、相手の都合に合わせるのではなく、こちらの都合で決める、という意味です。

つまり、こちらが決めた「〇月〇日の〇時のアポイント」という商品を売る、ということなのです。

アポイントを「もらう」というイメージだと、日時や場所を見込客に決めてもらうというパターンになりがちです。
しかし、これでは効率のいい営業活動はできません。

また、商談では、見込客をリードできるポジションを取れるかどうかが、非常に重要になります。

もし、アポイントを「売る」ことができなければ、その後、商談が進んだとしても、見込客をリードすることは難しくなります。

ポールポジションが取れるかどうかは、テレアポにかかっているのです。

ポールポジション

自動車レースのスタートで、最前列の一番内側の位置。もっとも有利なポジションで、予選で1位になったドライバーに与えられる。(weblio辞書)

スクリプトを用意する

テレアポは、相手からは見えません。

つまり、スクリプト(台本)を見ながらできるという特権が使えます。

スクリプトを見ながらテレアポすると、営業の電話っぽくなる、という意見もあるようですが、それはスクリプト自体がイケてないか、話し方がイケてないかのどちらかです。

テレアポに自信が持てるまでは、目の前にスクリプトを置いてテレアポするべきだ、というのが、僕の考えです。

その理由は3つあります。

  • 不要な不安と迷いから解放される
  • 無駄が省かれ、話が長くならない
  • 話が逸れても軌道修正しやすい

まず、自分は即興演奏ができるほど、アドリブ能力は高くない、と認めることです。

ちなみに、会社によっては、テレアポのスクリプトが用意されているところもあると思います。

しかし、どうしてもしっくりこない、というのであれば、言い回しを変えるなど、自分で試行錯誤しながら作り変えてみましょう。

二者択一話法でアポを決める

テレアポでは、二者択一話法を使うのが基本です。

二者択一話法では、「お会いしたいのですが、いかがでしょうか?」のように、会う、会わないは問いかけません。

「月曜日の13時と、火曜日の16時でしたら、どちらがよろしいですか?」というように、二択で示して、見込客に選択させるという技法です。

二者択一話法では、会わないという選択肢が、最初から排除されているのです。

しかし、多くの営業マンは、「いつがよろしいですか?」とか「どこがいいですか?」など、日時や場所の選定を見込客に丸投げしています。

これは、NGです。

なぜなら、「いつでも、どこでも大丈夫です」と言っているのと同じだからです。
見込客には、売れていない暇な営業マンとしか思われません。

そもそも、丸投げされた見込客は、だんだん会うのが面倒臭くなってしまいます。
その結果、安易に断って済まそうとするのです。

二者択一は、相手に負担をかけないだけでなく、自分の思ったところにアポを入れることができる非常に優れた技法なのです。

アポイントは二者択一で確定する。この基本を覚えておきましょう。

二者択一話法については、下記の記事で詳しく解説しています。

商談で二者択一話法を使いこなす アポイントと取ろうとすると「またこちらから連絡します」と言われる。 商談では最後に「ちょっと考えてまたお返事します」と言われる。 ...

断りにはブーメラン法で切り返す

テレアポでは、ほぼ間違いなく見込客の断りが出てきます。

この断りに対して、多くの営業マンが間違った切り返しをしています。

それは、戦いを挑む、ことです。

真面目に対応しすぎ、とも言えます。

たとえば、「すでに使っているものがある」「持っているから間に合ってる」といった断りに、「何か不満はありませんか?」とか「他社のものとはまったく違うものなのです」などと切り返してしまうのです。

これは、即刻やめたほうがいいです。

なぜなら、見込客の断りは、反射的なもので、大した意味はないからです。
なので、戦いを挑んで説得すること自体、まったく無駄なのです。

見込客の断りに対して使う技法は、たった1つです。

それは、ブーメラン法です。

ブーメラン法とは、文字どおり、見込客の言葉をそのまま返すという技法です。
基本形は次のようになります。

「YES 」+ 「だからこそ」

いくつか事例を挙げてみましょう。

「あまり興味がないんだよね」

もちろん、そうですよね。
実は、ご興味ない方にこそ、喜んでいただいてる情報なんです!

「今のところ、使っているものがあるから」

もちろん、そうですよね。
実は、すでに使っていらっしゃる方に、是非、お伝えしたい情報なんです!

「忙しくて時間が取れない」

お忙しいですよね。
なので、ほんの20分ほどでご判断いただける内容にしています。

ブーメランで切り返した後、すかさず二者択一でアポイントを提示します。

ここで、注意してもらいたいのは、反対に対するスタンスです。

断られても、慌てたり、抑え込もうとしたりせずに、「それは、よくわかっていますよ」と、余裕ある態度で受けることがポイントになります。

声のトーンとテンポを意識する

これは、あたりまえのことですけど、テレアポでは「声」しか相手に伝わりません。
実は、トークの内容よりも、声のトーンや抑揚、テンポのほうが重要なのです。

営業マンのテレアポを聞いていると、普段よりもうわずった高めの声で、しかも早口です。

これは、見込客を警戒させる、典型的なセールスボイスです。
(ちなみに、セールスボイスとは僕が勝手に作った造語です)

セールスボイスになってしまうのは、見込客に対するスタンスが低いことが原因です。
腰が低い、と、腰が引けてる、はまったく違います。

まず、普段と同じように、重心を下げて落ち着いた声になるよう意識しましょう。

また、緊張すると、どうしてもテンポが速くなるので、ゆっくり話すようにすることも大切です。

これらを改善するには、まず自分で確かめてみることです。
その簡単な方法があります。

それは、スマホの留守電に、自分のテレアポトークを録音して、何度も聞いてみるのです。

見込客の立場に立って聞いてみると、おそらくさまざまな気づきがあると思います。

【実例】スクリプトの解説

最後に、参考までに、僕が生命保険会社で、実際に使っていたテレアポ・スクリプトを題材にして、ポイントを解説します。
(業界によっては、まったく参考にならない場合もあります)

スクリプトは2種類です。

1つ目は、紹介された人に、生命保険商談のアポイントを取るケース。

2つ目は、スカウトする目的で、優秀なビジネスマンにアポイントを取るケースです。

突然のお電話で失礼いたします。
わたしは、●▲生命の■■と申します。

今、1,2分よろしいでしょうか?

ありがとうございます。
実は、ご同僚の□□さんに、ご紹介いただいたのですが、□□さんからは、何かお聞き頂いていますか?

ありがとうございます。
実は、先日、□□さんに生命保険のお話をさせて頂いたのですが、その際、非常に喜んで頂きまして、で、「こんな話なら」と、まっさきに○○さんをご紹介頂いたんです。

とは言いましても、□□さんにも、喜んで頂けるかどうかはわからないのですが、ほんの15分ほどのお時間なので、ぜひお会いしてお話させて頂きたいのですが、ちなみに、もし、お会いできるとしたら、今週と来週、どちらがよろしいでしょうか?

 

○○さんでしょうか?
突然のお電話で失礼致します。

わたしは、はじめてお電話差し上げる者なのですが、●▲生命で営業所長をしております■■と申します。どうも、はじめまして!

今、1,2分よろしいでしょうか?

ありがとうございます。
実は、今日、お電話したのは、○○さんにスカウトのお話なんです。

と言いますのは、○○さんが@@商事で、非常にご活躍されているという情報を聞きまして、是非、一度お会いして、お話を聞かせて頂きたいと思いお電話しました。

とは言いましても、当然、○○さんにも、いろいろお考えがあると思いますので、差し当たっては、名刺交換を兼ねた10分ほどのお時間で結構です、
もし、お会いできるとしたら、明日か明後日、どちらがよろしいでしょうか?

ポイントは、以下の通りです。

  • とにかく、最後の二者択一のところまでは一気に話すこと。
  • 目的と背景をシンプルできるだけ早く、かつストレートに伝えること
  • 「とは言いましても」と、一瞬だけ引くこと

相手の反対や質問は、最後まで話し切った後に聞くようにすることが、最大のポイントになります。

なぜなら、途中で相手の反対や質問が入ってくると、最後まで行かずに終わってしまう可能性があるからです。

また、相手が何か言い返そうとする、そのタイミングで、「とは言いましても」と、一瞬こちらから引くことで、反対が出にくく、またアポイントも取りやすくなります。

ちなみに、「今、お時間大丈夫でしょうか?」と言っている営業マンも多いと思いますが、これだと「忙しい」と断られる可能性が高くなります。

これを、「今、1,2分大丈夫でしょうか?」にすると、圧倒的に「YES」がもらいやすくなります。(実証済み)

まとめ

テレアポで、やたらと「すいません」を、連発している営業マンがいます。

これは、ベクトルが見込客ではなく、自分を向いている証拠です。

営業は、多くの人に質の高い情報を提供し、問題を解決するという価値ある仕事です。
そして、テレアポは、その一番最初の重要なプロセスです。

あなたの架ける1本の電話には、とても大きな価値があるのです。

自信とプライドを忘れず、正々堂々とテレアポに臨みましょう。

  • アポイントを「売る」
  • スクリプト(台本)を用意する
  • 二者択一話法でアポを決める
  • 反対にはブーメラン法で切り返す
  • 声のトーンとテンポを意識する

 

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