どうもやる気がわかない。
モチベーションが上がらない。
テンションが低い。
やる気、モチベーション、テンション。
それぞれ意味は違いますが、当人が陥っている状態は、ほぼ一緒です。
このままではアカン、と分かっているのに、なぜかエネルギーが湧いてこない。
しかも、そうなってしまった理由もはっきりしない。
こんなこと、ありますよね。
冬の朝、寒くてなかなか布団から出られない、という状態とよく似ています。
残念ながら、こうした状態から一発で抜け出せる、という合法的な処方箋はありません。
ただ、こうした状態を放っておくわけにはいきません。
今回は、こうした状態からなんとか抜け出す考え方を提供します。
Contents
やる気の正体は何か?
やる気、モチベーション、テンション。
そもそも、これらの正体は何でしょうか。
実は感情です。もっと言ってしまえば単なる気分です。
一方、やる気やモチベーション、テンションというのはただの言葉です。
言葉というのは概念であって、実体はありません。
つまり、僕たちが「やる気がわかない」とか、「モチベーションが上がらない」と言っているときは、ある時点の自分の気分に、「やる気」や「モチベーション」という言葉のレッテルとして張り付けているわけです。
不思議なもので、いったん言葉のレッテルを張ってしまうと、実際に自分がそういう状態にあるように感じてしまいます。
たとえば、「風」という言葉があると、風が存在しているように感じますが、実際にはただ空気が動いている現象であって、名詞としての「風」は実際には存在していないのと同じです。
もちろん、心身の状態にどこか不調を感じているのは事実ですが、それを「やる気」や「モチベーション」という言葉に紐づける必要はないのです。(もちろん、深刻な場合は病院へ行きましょう)
実際、僕の場合は、やる気がどうとか、モチベーションが、とか言ってるときは、たいてい自分に言い訳しているときです。
ちなみに、保険会社にいたときに、ある営業マンが年間の目標を達成したときのスピーチで、次のように話していました。
「実は1年前に、『今年はモチベーションを言い訳にしない』と決めたんです」
「やる気がない」がデフォルト
やる気がでないときに陥りやすいのが、やる気が出ないのはおかしいことだ、と思ってしまうことです。
場合によっては、自分を責めたり、自信を失ったりすることもあります。
しかし、それは違います。
ある著名なお坊さんも、「人間はもともと怠惰な動物。ある意味、生き物の中でもっとも怠惰な存在かもしれない」とおっしゃっています。
つまり、「やる気がない」という状態がデフォルトなのです。
裏を返せば、やる気がある状態というのは、平常ではなく非常な状態なのです。
このことを理解しておくことは、結構重要です。
なぜなら、次の2つのことがわかるからです。
- やる気は長続きしない
- 待っていてもやる気は出てこない
やる気がないのがデフォルトなら、自己嫌悪に陥る必要もありません。
とはいっても、仕事においてそのままでオッケーというわけにはいきませんよね。
では、どうすれば平常の状態から、仕事モードに切り替わるのかを考えてみましょう。
行動が先、やる気は後
やる気やモチベーションがない状態から抜け出し、仕事モードをオンにする方法は、実はひとつしかありません。
それは、動くこと、です。
やる気が出ないとか、モチベーションが低いという状態は、人によって違うかもしれませんが、共通しているのは、心身ともに止まっている状態、であるということ。
なので、まず動くこと。これが鉄則です。
こういうと、「いやいや、やる気がないから動けないんでしょ」と反論したくなるかもしれません。
しかし、人間はやる気が出てから行動するわけではありません。
実際には、行動することでやる気が湧いてくるのです。
たとえば、幼い子供は、積み木で遊んだり、絵を描いたりすることに夢中になって、母親が呼んでも気づかない、ということがよくあります。
しかし、彼らは「よし、積み木で遊ぶぞ!」とか「絵を描くぞ!」と、やる気を出してから始めたわけではありません。
多くの場合、何気なく始めたら、夢中になってしまったということなのです。
これが、心理学者のクレペリンが提唱したと言われる「作業興奮」というものです。
難しいことはさておき、要は行動することによって脳に刺激が与えられるということ。
この脳への刺激というのが、やる気を起こすためには必要不可欠だということです。
つまり、行動が先でやる気が後なのです。
行動を起こすためのヒント
まずは行動すること、といっても、やはり最初の一歩は少しパワーが必要になります。
その一歩を踏み出すために、どうしたらいいでしょうか。
未完了を完了させる
やる気が出ない、モチベーションが上がらないという状態は、言い換えるとエネルギーが枯渇気味だということなのですが、その原因のひとつに、未完了のタスクがあります。
仕事をしていると、次から次へとやるべきことが降ってきます。
突然の顧客からの依頼、プレゼンの準備、メールの返信や報告書の提出、経費精算、その他の事務処理…。
仕事だけではありません。プライベートも同様です。
それらを、「ま、明日でいいか」と後回しにしていると、当然、未完了のまま溜まっていきます。
実は、この未完了のタスクが、精神的な重荷に変わり、知らず知らずのうちにエネルギーを奪ってしまっているのです。
この解決策として、それらをいったんアウトプットしてみましょう。
具体的には、すべて紙に箇条書きで書き出すのです。
実際に書き出してみると、「あれ、思ったほどたくさんあるわけじゃないな」とか、「意外に簡単に片付けられそうだ」と思えたりするはずです。
書き出したら、簡単に完了できそうなことから取り掛かります。
そして、それが完了したら、その勢いに乗って他のタスクも片付けていくのです。
面倒くさいことは、一挙にやってしまうのがコツです。
いくつかのタスクが完了すると、ちょっとした達成感があるはずです。
個人的な見解ですが、達成感というのは、ある種の解放感だと思っています。
この解放感によって、身も心も軽くなり、次の行動を取りやすくなるのです。
とにかく人に会う
営業の仕事で、やる気を起こすための最良の行動は、やはり人に会うことです。
やる気が出ない状態のときは、活動量も少なくなっているはず、というか、サボっているはずです(笑)
しかし、これは断言できますが、営業マンのやる気やモチベーションの問題は、やはり人に会うことでしか解決しません。
その際、次の2つがポイントになります。
- 短い期間(たとえば1週間とか)を設定して、できるだけ多くの人に会う
- 普段、よく会っている人以外に会う(会う人を変える)
期間限定のハードワーク
重要なのは、普段とはあきらかに違う動きをして、身体と意識に「俺は、今からこの状況を脱却するのだ!」というメッセージを送ることです。
そのためには、できるだけタイトなスケジューリングをする必要があります。
要は、期間限定のハードワークを試みるのです。
保険会社でマネージャーをしていたとき、1週間限定で「30アポイント」という課題を出していました。
やる気がない状態に陥っているときは、新規の見込客も枯渇気味なので、既存のお客様をメインにアポイントを入れるように指示します。
この際、商談になる、ならない、にはこだわらなくても構いません。
やってみればわかると思いますが、スケジュールがタイトになると、悩んだりする時間がなくなります。
また、忙しく飛び回っていると、商談をしているわけでもないのに、心身共に次第に仕事モードになっている自分に気付くと思います。
そして、不思議なことに、お客さんのところを回っていると、かなり高い確率で、商談のネタが出てくるのです。
会う人を変える
皆さんは、仕事の最大の敵は何だと思いますか?
それは、マンネリ、です。
マンネリ(mannerism/マンネリズム)
一定の技法や形式が惰性的にくりかえされ、型にはまって独創性や新鮮みがなくなること。
― goo国語辞書
営業マンは、仕事がマンネリ化してくると、同じお客さん、同じ得意先ばかりを訪問する傾向があります。
これを、ガラリと変える必要があります。
というのも、活動がマンネリ化してくると、思考もマンネリ化してきて、新しいアイデアが出てこないからです。
当然の結果として、やる気やモチベーションはなくなってきます。
会う人を変えるときに、注意して欲しいことがひとつあります。
それは、モチベーションやテンションが低い状態でいると、知らず知らずのうちに同じ状況の人間を引き寄せてしまう可能性が高いということ。
実は、運やツキのなさは伝染します。(個人的見解)
なので、お客様にしろ、社内の人にしろ、会う人を変えるときには、ネガティブな人や下降トレンドにある人は、意識して避けるようにしましょう。
目標を再設定する
やる気がないときは、目標を見失っている、あるいは、あきらめてしまっていることが多いと思います。
しかし、目標がなければやる気やモチベーションは出てきません。
まず、目標を再設定しましょう。
ただし、目的は予算の達成ではなく、やる気がない状態から脱却することなので、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 超短期の目標を設定する
- 活動プロセスを目標にする
通常の目標や予算は、年間や半期で設定されていることが多いと思いますが、それはそれとして、ここでは短期の目標を設定します。
長くても1か月以内にします。
理想は、すぐに結果が精査できる1週間単位です。
また、成約や契約などの結果ではなく、活動プロセスにします。
具体的には、訪問数や、テレアポ数などです。
前述の通り、まず動くことが重要なので、それを意識した目標を設定しましょう。
ちなみに、こうした目標や計画、戦略は、かならず紙に書き出します。
他の記事にも書いていますが、頭の中にあるだけのものは、ほとんど役に立ちません。
なので、とにかく紙にアウトプットして整理してみることが大切です。
オマケ:高いところに登る
あれこれやってみたものの、どうしてもやる気が湧いてこない、モチベーションが上がらないというときもあると思います。
昔、生命保険の営業をしていたころ、ある先輩に「落ち込んで、どうしようもなく不安な時は、とにかく高いところへ登れ」というアドバイスをもらったことがあります。
あるとき、この怪しいアドバイスを真に受け、車を走らせ、比叡山ドライブウェイを山頂まで登ったことがあります。
山頂に大きな駐車場があるのですが、その西の端からは京都市内、東の端からは大津市内が一望できます。
平日ということもあって、猿の群れがたむろしているだけでした。
ちょうどその時、日が沈みはじめたのですが、京都の街にも大津の街にも、無数の小さな明かりの海が広がり始めました。
それを、見続けていると、不思議なことに「これだけたくさんの人が住んでいるなら、一人くらい保険の話を聞いてくれるやろ」と思えてきました。
「なるほど、こういうことね」と一人で苦笑いをした経験があります。
ちなみに、その先輩はちっとも売れてなかったですけど(泣)
良かったら、一度試してみてください。(効果は保証できません)
まとめ
営業の仕事は、どうしても波があります。
ちょっとしたことをきっかけに、モチベーションを失ってしまうこともたくさんあります。
ひどいときは、人間不信になることさえあります。
ただ、こうした経験は営業マンであれば、誰もが例外なく経験しています。
しかし、ここで大切なことは、落ち込まない強いメンタルを身につけることではないと思います。
そこから、一刻も早く立ち上がることが大切なのです。