営業マインド

売るためのコツは「スピード感」にある

 

上 司
上 司
わかってるやろな、営業は数字がすべてや!
とにかく、結果を出せ!
営業マン
営業マン
はっ、はい…

 

こんな上司も、今の時代、少なくなってるかもしれませんね。(まだいる?笑)

とはいっても、やっぱり売れていないと、営業は結構つらい仕事です。

上司の目、後輩の冷ややかな態度、肩身の狭い営業会議、見たくない営業ランキング…

ため息つきたくなる気持ちもよく分かります。

しかし、解決するには、やはり生産性を上げて結果を出すしかありません。

では、どうすれば生産性が上がるのでしょうか?

上 司
上 司
生産性を上げるには何が必要?
営業マン①
営業マン①
知識と技術と経験です
営業マン②
営業マン②
やっぱり質の高いマーケットじゃないですか
営業マン③
営業マン③
僕は、気合と根性だと思います

確かに、どれも非常に大切です。

しかし、数多くの営業マンの育成や、トレーニングをしてきて気づいたことは、もっと単純なことです。

それは、「スピード感」です。

結論から言うと、結果が出ない人は「遅い」のです。

個人的には、これが目標達成するための、最大の障害だと思っています。

「遅い営業マン」から脱却すること。それが売れる営業マンに変身するための最短ルートなのです。

生産性とはスピードのこと

年間の売上予算が、1,000万円の仕事があったとします。

営業マンのA君は、見事に1,000万円を達成。

一方で、営業マンのB君500万円という残念な結果で終わったとします。

さて、この2人は何が違うのでしょうか。

もちろん、その理由はわかりません。

単純に、A君は「売れている」、B君は「売れていない」ということですか、少し視点を変えてみましょう。

B君は、本当に売れていないのでしょうか?

実は、決して売れていないわけではありません。

事実、500万円売っています。

そして、B君も1,000万円を達成することはできます。

ただし、それには2年の歳月が必要だ、ということ。

理由はさておき、「スピード」の問題だということは、一目瞭然です。

結局、「売れていない」という結果は、営業スキルや知識の問題というより、ただ仕事が「遅い」というだけなのです。

この「遅い」について、もう少し具体的に考えてみましょう。

スピードには2種類ある

売れてる先輩
売れてる先輩
お前は、仕事が遅いねん!
遅い営業マン
遅い営業マン
遅いって、何がですか?
売れてる先輩
売れてる先輩
最初の一歩や!

 

仕事に求められるスピードには、次の2つがあります。

  • 速い(Fast) … 処理能力
  • 早い(Early)… すぐやる力

言うまでもなく、どちらも重要、

なんですが、

意識すべきは、早い(Early)の方です。

実は、仕事のできる人と、そうでない人の違いは、始めの一歩を踏み出す「早さ」にあります。

つまり、ものごとに取り掛かる早さが違うのです。

いくら仕事を処理するスピードが速くても、それを先延ばしにしているなら、意味がありません。

このスピード感覚は営業マンによって違うのですが、厄介なのは、自分は「遅い」ということに、なかなか気づきにくいのです。

 

売れてる先輩
売れてる先輩
○○さんとは連絡取れたん?
売れない後輩
売れない後輩
はい、後で電話するつもりです
売れてる先輩
売れてる先輩
ん?今したら?

 

この「早さ」には、極端な「差」があるわけではありません。

しかし、このちょっとした「差」が、想像以上の大きな結果の「差」になってしまうのです。

なぜなら、ちょっとした一歩の遅れが、次々と「負の連鎖」を引き起こすからです。

実は、できる営業マンは、このことを体で理解しています。

仕事において、この「ちょっとくらい」はバカにできません。

「一本の釘が足りなかったために」という話を、聞いたことがないでしょうか。

釘が一本足りなかったために、蹄鉄が失われ
蹄鉄が一つ足りなかったために、ウマを用意できず
ウマが一頭足りなかったために、騎手が乗れず
騎手が一人足りなかったために、戦に負け
戦一つに負けたために、王国が滅びた

すべては、たった一本の釘のために

ー ベンジャミン・フランクリン ー

 

ちょっとした遅れがもたらす「負の連鎖」、その代表的なものを3つ挙げてみます。

  • ひとつ遅れが、次の遅れを生む
  • 仕事が重くなり、未完了を生む
  • クロージングできない体質になる

ひとつ、ひとつ見ていきましょう。

ひとつの遅れが、次の遅れを生む

高速道路などでよく出くわす交通集中による自然渋滞。

これは、先を走る数台のクルマのちょっとした減速が、後続車に次々とブレーキを踏ませ、最後には止まってしまう、というメカニズムによって発生します。

これと同様なことが、仕事でも起こっています。

遅い営業マン
遅い営業マン
もしもし、恐れ入りますが
社長さんはいらっしゃいますか?
従業員
従業員
社長は今日から海外出張で、
月曜日まで戻りませんが…
遅い営業マン
遅い営業マン
あ、そうですか…
(しまった、昨日電話すればよかった)

 

初動のちょっとした遅れが、次の遅れを生み、それがさらに次の遅れを生んでいくという「負の連鎖」は、そこら中で起こってます。

実際、テレアポを今日するのか、明日するのかというたった1日の違いが、成約や受注になるときには数週間の差になっている、なんてことはザラです。

それだけではありません。

あと一歩遅かったためにチャンスを逃してしまう、といったことも起こっています。

これが、一生懸命に仕事はしているのに、生産性が上がらない大きな要因なのです。

仕事が重くなり、未完了を生む

仕事には「重さ」がある

仕事には「重さ」があります。

もちろん、物理的な重さがあるわけではありません。

俗にいう、「気」が重い仕事と、軽い仕事、というやつです。

最初から、ヘビー級の仕事もありますが、ありがちなのは、もともと軽かったはずの仕事を、自ら気の重い仕事にしてしまうパターンです。

不思議なもので、仕事は先に延ばすと、その重量が増していきます。

その結果、「ま、後でいいか」が、「ま、明日でいいか」になり、さらに「ま、来週でいいか」というパターンに陥るのです。

未完了がメンタルを下げる

完了していない仕事のことを、「未完了のタスク」と言います。

仕事というのは、いったん取り掛かってしまえば、ある程度までは進みます。

そして、余程のことがなければ、そのまま完了します。

裏を返せば、ちゃんと「最初の一歩」を踏み出していれば、未完了のタスクは生まれない、ということです。

この未完了のタスクが厄介なのは、それが蓄積していくと、メンタルに影響を及ぼすようになってしまうことです。

長雨を降らす梅雨前線のように、気分が停滞してしまうのです。

メンタルが下降トレンドになると、それがまた新たな未完了を生むという悪循環を引き起こし、ますます脱出が困難になっていきます。

クロージングできない体質になる

これは、前述の2つとはすこし毛色が違います。

過去、多くの営業マンを見てきましたが、そこに不思議な傾向があることに気づきました。

それは、

  • 「遅い営業マン」は、クロージングができない
  • 「早い営業マン」は、クロージングが当たり前

クロージングというのは、決断を促す(もしくは迫る)という行為です。

ところが、遅い営業マンはここで矛盾に直面します。

というのも、自らも決断するのが苦手なタイプが多いからです。

自分ができないこと、苦手なことを相手に求めるということは、なかなかできることでありません。

これは、あくまでも推測ですが、遅い営業マンは、決断できない見込客の気持ちに同調しやすいのだと思います。

一方で、スピード感のある営業マンは、自分が即断即決型なのでクロージングに対してあまり抵抗がありません。

これは性格だ、という人もいますが、ほとんど関係ないと思います。

実際、クロージングができなかった営業マンが、スピード感覚を身につけることによって、自然にできるようになったという事例を何人も見てきました。

クロージングが苦手だ、という人はここに問題があるのかもしれません。

「最初の一歩」は二者択一

ここまで、最初の一歩が遅れから始まる「負の連鎖」についてみてきました。

結局のところ、「いつやるのか」ということなのですが実際はもっとシンプルです。

実は、突き詰めると次の2つの選択しかありません。

  • 今すぐやる
  • あとでやる

人の行動というのは、常にこの二者択一の結果です。

そして、意識的にせよ、無意識にせよ、どちらを選択したのかによって結果が変わります。

仕事は「いつやるか」ではなく、「今か」「後か」の二択なのだ、という思考回路が必要です。

たとえば、「今日中にやります」とか「今週中にやります」というのも、単に「今はやらない」という決断をした、ということなのです。

後でやるのであれば、それが明日であろうが、来週であろうが、結果的にはあまり変わりません。

なぜなら、そのときが来ても、また先延ばしにする可能性が高いからです。

すぐやるべきことは何か?

売れない営業
売れない営業
先輩、やっぱり優先順位が大切ですよね
売れてる先輩
売れてる先輩
そう言うやつに限って、仕事が遅いねん(笑)

 

今すぐやる、とはいっても、すべてをやるのは無理です。

ここで、よく出てくるキーワードが「優先順位」なのですが、本当のところは、あまり考える必要はありません。

なぜなら、営業において、優先順位の高いことは決まっているからです。

それは、

コンタクトを取ること

です。

「コンタクトを取る」とは、見込客や顧客と接触すること。

極端に言うと、これ以外のことは、すべて後回しでもオッケーです。

具体的には、たった2つ。

  • すぐに連絡する
  • すぐに会いに行く

実は、売れている営業マンと、売れていない営業マンのもっとも大きな違いは、「ここ」にあります。

これは数多くの営業マンを見てきた経験上、間違いありません。

営業では、アポイントを取る、回答する、確認を取る、告知する、などコンタクトを取る場面が数多くあります。

残念な営業マンは、このコンタクトを取るのが、ワンテンポ(もしくはそれ以上)遅いのです。

あれこれ考える前に、とにかくコンタクトを取る。

これを意識して実践するだけで、間違いなく結果は変わります。

ここで押さえておくべきポイントを3つ挙げておきます。

  • 「今すぐやる」という技術はない
  • 「まず、~してから」を封印する
  • 「即断即決」を意識する

 

「今すぐやる」という技術はない

「今すぐやる技術」「先延ばしをしない方法」といったテーマの本や情報は、巷に溢れています。

確かに、そこから学べるノウハウはあるのかもしれません。

しかし、あくまでも私見ですが、そうした技術や方法を探している時点で、すでに先延ばしモードに入っています。

「今すぐやる」のに、スキルや知識はまったく必要ありません。

ここでも、性格を持ち出す人もいますが、まったく無関係です。

「今すぐやる」ためのコツは、ただ「今すぐやること」以外にはないのです。

「まず、~してから」を封印する

マネージャー
マネージャー
来週のアポを入れなアカンで
営業マン
営業マン
はい、リストを整理してからテレアポします
マネージャー
マネージャー
いや、テレアポだけでええやろ

仕事に取り掛かるときに、「まず、~してから」と言う人がたくさんいます。

「まず調べてから」「資料を作ってから」「本社に確認してから」「机を片付けてから」「昼ご飯を食べてから」…etc

はっきり言いますが、これらの多くは「逃げ」です。

「まず、〜してから」という考えが浮かんだときには、それを先にやる必要が本当にあるか、自問自答してみましょう。

「少しでも後で」と、先延ばししている自分に気づくはずです。

「即断即決」を意識する

「クロージングができない体質になる」のところでも言いましたが、すぐに取り掛からず、後回しにする人の特徴は、「即断即決」ができないことです。

即断即決しない人のことを、「優柔不断」と言います。

  • 即断即決…間髪入れずに決断すること
  • 優柔不断…ぐずぐずして決断しないこと

おそらくですが、人というのは優柔不断がデフォルト、つまり普通なのです。

なので、即断即決は意識しないとできないことが多いのです。

特に、管理職になってキャリアップしていくには即断即決力は必須です。

この即断即決は日常の中でトレーニングしてみましょう。

人は、朝から晩までさまざまな「選択」をしています。

着る服を選ぶ、メニューを選ぶ、商品を選ぶ…

こうした「選択」の場面で、素早く決断する習慣を身につけるのです。

もちろん、失敗することもありますが、それが本当の学習です。

個人的には、即断即決は、営業に限らず、人生そのものを好転させるもっとも重要な要素だと思っています。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

営業活動とは何か、というと、もともとは、

❶ 電話する、❷ 会う、

の2つしかありませんでした。

今は、メールや、オンライン面談などもありますが、基本は同じです。

営業とは、「コンタクトすること」なのです。

コンタクトを取るスピードが、結果を大きな左右します。

提案書や見積りを作成する、資料を作る、事務処理をする、会議に出る、研修を受ける、などは、どれも営業活動ではありません。

営業マンにとって、これらは「仕事」ではなく、「作業」です。

何を差し置いても、真っ先にコンタクトを取ること。

たったこれだけのことで、間違いなく結果は変わります。

 

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