営業スキル

売れる営業マンはリアクションが違う

見込客の反応がどうも薄い

なんか会話がスムーズに進まない

営業マンから、よく聞く悩みです。

結論から言うと、見込客の反応がイマイチなのは、営業マンの反応がイマイチだからです。

つまり、営業マンの「反応」「応答」「返事」などの、リアクションのマズさが原因です。

残念ながら、多くの営業マンは、自分のリアクションに対して無自覚です。

リアクションは癖になりやすく、反射的に出てしまうことが多いので、意識しなければ自分でも気がつきません。

これが、見込客に不快感を与えていることが多いのです。

裏を返せば、リアクションを意識的に変えるだけで、見込客の心象も大きく変わるのです。

営業の成否を決めるリアクション

リアクションとは能動的な意思表示

営業におけるリアクションとは、相手の話をどう受け取ったのか、を伝える能動的な意思表示です。

これには言葉だけでなく、表情やジェスチャーなどの非言語的なものも含みます。

実は円滑なコミュニケーションにはリアクションが非常に重要なのです。

なぜなら、人は自分の話に相手がどういう反応を示したかによって、聞いてくれた、分かってくれた、を判断しているからです。

話を聞いていたにもかかわらず、

「ちょっと、聞いてんの?」

と、突っ込まれたこと、ありますよね。

結局、あなたが実際に話を聞いていたかはどうでもよく、あなたがどう反応したかだけに関心があるのです。

もし、あなたのリアクションがイマイチだと、あなたは話を聞いていない人と判断され、嫌な奴と思われるわけです。

そのためには、見込客に「ちゃんと話を聞いていますよ!」と積極的にアピールしなければなりません。

リアクションで撃沈したK君の話

保険会社の営業所長時代に、営業所のK君が歯科医の先生にアポイントが取れたということで、その初回面談に同行したことがあります。

記憶を元に再現してみます。

K君は、基本通りヒアリングを始めました。

ところで、先生はもう生命保険にはご加入されていますよね?

ええ、入ってます。

えっと、失礼ですがどちらの保険会社さんですか?

〇〇生命。

ああ、〇〇生命さん。えっとそれはいつご加入されたんですか?

半年前かな。

半年前…、その前にも保険には入っていらっしゃったんですか

入ってたけど、ちょっと見直した方がいいかなと思ってたんでね。

えっと、内容がよく分からないっていう人が多いんですけど、先生はどうですか?

いや、だからちゃんと見直したんで。

その場の雰囲気が怪しくなってきたので、先生に一言断ってK君とバトンタッチしました。

半年前に〇〇生命にご加入されたおっしゃってましたね?

そう、半年前に。

そうなんですね。半年前というと、まだご加入されたばかりですね。
〇〇生命さんとは何かご縁があったんですか?

実は他の先生から紹介されてね。保険を一度見てもらった方がいいよ、って言われたんで。

そうだったんですね。ご紹介があったんですね。
でも、すでに保険に入っていらっしゃったんですよね?

入ってましたよ。その前は□□生命に入ってたんだけど。でも、内容が全然分かってなかったからね。生命保険って証券見てもよくわからないじゃない。

いやホントわかりにくいですよね。実は皆さんそうおっしゃいます。

でしょ。でも〇〇生命さんの営業の方が全部見て説明してくれてね。

ああ、それは良かったですね。結果的にどうだったんですか?

いや思っていたのとはまったく違っていて、ちょっとびっくりだったね。

結局、この商談は次には繋がらなかったのですが、最後に先生がとても興味深いことをおっしゃいました。

「不思議ですね。同じように質問されてるのに、Kさんに聞かれるのと営業所長さんに聞かれるのとでは、まったく印象が全然違うんだよね。」

この先生の言葉は、いかにリアクションが重要なのかを改めて気付かせてくれました。

ただ同行したK君は、底なしに落ち込んでましたけど(笑)

問題は反射的なリアクション

前述のK君の問題は、リアクションが反射的になってしまっていたことにあります。

ちゃんと見込客の話は聞いていましたが、自分のリアクションにはまったく意識が向いていませんでした。

反射的になってしまうのは、意識が見込客ではなく自分に向いているからです。

何を話したらいいのか、どう切り返したらいいのか、に意識が向いているとリアクションがおろそかになります。

特に緊張したり、予期せぬことを言われたときなどはその傾向が強くなります。

ですから、一度でもいいのでロールプレイングを録画して、自分がどんなリアクションをしているのかを見てみることをお勧めします。

言葉だけでなく、表情、目線、相槌の仕方などを繰り返し何度も見て確認してみてください。

いかに無意識にやっていたのかがわかると思います。

リアクションを改善する

「あ、そうですか」を封印する

まず、イケてないリアクションを改善しましょう。

むちゃくちゃ多いのが見込客の話に口先だけで、「あ、そうですか」と反射的に反応してしまう営業マンです。

無関心丸出しで、話を受け取ってくれた感じがまるでしません。

まず語尾を「ね」に変えてみましょう。

自然に語尾が上がり、たとえ反射的に答えてしまっても、話をちゃんと受けて確認している印象に変わります。

「そうですか」 

「そうなんですか」

「そうなんですね」 

「そうだったんですね」

 

次によくあるのが、見込客に何か都合の悪いことを言われたときに、思わず失望感、困惑感満載の「ああ、そうですかあ…」を発してしまうパターンです。

これは営業マンとしては最悪のリアクションです。

これも同じように語尾を「ね」に変えて、余裕を持って応答しましょう。

「購入するのはまだ先でいいかなと思ってるんです」

「あっ、そうなんですかあ…(汗)」

「まだ今は必要ないかな、と思っているんです」

「そうなんですね」

 

これ以外の言葉でも語尾を「ね」に変えるだけで印象が変わるので、自分でもいろいろ考えてみましょう。

返事は2回以上繰り返さない

子供の頃、「返事は一回でいい!」って怒られたことがありますよね?

ところが、反射的に「はい、はい」とか「なるほど、なるほど」とやってしまっている営業マンはかなりたくさんいます。

特に最悪なのは、相手の話が終わらないうちにかぶせてしまう営業マンです。

「あー、わかった、わかった」とバカにしたような印象を相手に与えるので100%嫌われます。

「あー、はい、はい」

「あー、なるほど、なるほど」

返事や相槌は、はっきり一回だけ「はい」「ええ」と目で相槌を打つ。それだけで印象はガラリと変わります。

ちなみに「なるほど」は、上から目線の感じがするので、使うときは意識しておきましょう。

第三者話法「皆さんそうおっしゃいます」

見込客から反対されたときに、「まあ、そうですけど」とか「そうなんですけど」否定的に返してくる営業マンがいますが、これもNGです。

反対に対しては、まずYESで受け取るのが基本中の基本。

見込客の反対をしっかり認めるリアクションとして、第三者話法の「皆さんそうおっしゃいます」を覚えておくと便利です。

これに「実は」とか「確かに」をつけるとさらに効果的です。

YES +「皆さんそうおっしゃいます」

ちょっと他よりも高いよね。

まあ、そうですけど、
ええ、そうなんですけど、

ちょっと他より高いよね

そうですね、皆さんそうおっしゃいます

ちょっと使いにくそうだなあ

そうですね、実は皆さんそうおっしゃいます


そうですね、確かに皆さんそうおっしゃいます

しっかりとYESで受け止めてから、説得するようにしましょう。

オウム返し(バックトラック法)

オウム返しとは、相手の言葉をそのまま繰り返すという傾聴スキルのひとつです。

適切に使うとコミュニケーションを円滑にすることができます。

しかし、間違った使い方をすると逆効果になってしまうという、意外に難しいテクニックです。

ところで、このオウム返しが癖になっている営業マンがいます。

間違いなく「アタマ悪いんか」と思われるのですぐに治しましょう。

オウム返しが、難しいのは相手の話のどの部分を返すのか、という見極めです。

特にネガティブな言葉をオウム返しすると墓穴を掘ることがあるので注意しましょう。

この春、息子が大学受験で失敗してね。

失敗したんですね

この春、息子が大学受験で失敗してね。

大学受験だったんですね

オウム返しは確認、復唱の意味合いで使うのがベストです。

話を丁寧に聞いている感じが見込客に伝わります。

特に、状況や要望をヒアリングする場面では、見込客は安心感を感じますので積極的に使ってみましょう。

戸建ではなくて、マンションを探してるんですけどね。

マンションをお探しなんですね。

できれば3万円以内が希望なんですけど。

3万円以内がご希望ですね。

ズレたリアクションは要注意

見込客の話がまだ見えない段階で、ズレたリアクションをしてしまう営業マンがいます。

例えば、見込客が次のような話をしたとしましょう。

「昨日、息子と二人で淡路島まで釣りに行ったんだけどね」

これだけでは、まだ話のオチが見えません。ここで、

「息子さんと一緒にですか」
「いいですね、淡路島」
「釣りはよく行かれるんですか?」

とか言って、それが話のオチからズレていたりすると、

「お前、そこ反応する?」

っていうことになりかねません。

例えば、この話のオチが

「途中でスピード違反で捕まった」

だったとしたら、どうでしょう。

話は最後まで聞いてからリアクションしましょう。

リアクションで意識すべきは「目」

リアクションは言葉も重要です。

しかし、それ以上に目が重要だ、ということを強調しておきます。

目は露出した脳と言われるくらい感情や考えが現れます。

特に反射的なレスポンスをしたときは、あなたの焦りや迷い、下心などが目に現れ、それが見込客にバレてしまっています。

目は口ほどに物を言う、と言いますが、まさにその通りなのです。

これを解決するには、見込客の言葉を目で受け止めるイメージを持つことです。

目で受け取り、目で頷き、目で感情を伝えるのです。

やってみればわかりますが、自然に目に力が入り、普段よりは少し大きく開く感じがすると思います。

最初は意識しないとできないと思いますが、そのうち無意識にできるようになるはずです。

昔、カリスマ実演販売のいとう伸さんのセミナーに参加したことがあるのですが、とにかく目で伝えることの重要性をお話されていました。

そのセミナーでは「好きです」「嫌です」などの言葉を、目だけで相手に伝えるというワークがあったのですが、不思議なくらい伝わるので参加者全員が驚いていました。

目で言葉を受け止めることが自然にできるようなれば、言葉で返さず、ただ頷くだけでも相手には好感を持たれるようになります。

商談の不安をなくすことが先決

自分のリアクションに意識を向ける余裕がなくなる最大の理由は、やはり不安と緊張です。

そのためにも、ールスプロセスや、セールストークを、しっかりと身につけておきましょう。

今回ご紹介した簡単なフレーズであっても、繰り返し練習してはじめて自然に使えるようになります。

その努力をさえ怠らなければ、あなたも必ず習得することができます。

まとめ

営業マンにとって、コミュニケーション能力を磨くことは必要不可欠です。

コミュニケーションは、話す・聞くの相互のやり取りですが、見方を変えればリアクションのやり取りとも言えます。

見込客と良好な関係を築けるかどうかはリアクション次第です。商談では常にそれを意識しておきましょう。

  • リアクションは能動的な意思表示
  • 問題は反射的なリアクション
  • 「あ、そうですか」を封印する
  • 返事は2回以上繰り返さない
  • 第三者話法「皆さんそうおっしゃいます」
  • オウム返し(バックトラック法)
  • ズレたリアクションに要注意
  • リアクションで意識すべきは「目」
  • 商談の不安をなくすことが先決

 

 

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