営業成績をもっと上げたい。
目標予算を達成したい。
営業の仕事をしていれば誰もがそう思っています。
しかし、具体的に何を頑張ればいいのか、何を改善するばいいのか、それがよく分からないという人も多いと思います。
それは、営業目標を達成するためのロジックを理解できていないからです。
そのため自己分析することができず、自分が取り組むべき課題が曖昧になっているのです。
こうした状況を解決する方法があります。
それは営業目標を数式に分解し、「方程式」にしてみることです。
Contents
目標を方程式で考える
基本の営業方程式とは
営業は数字の世界だ、と言われます。
真っ先に思いつく数字は自分の予算と営業成績(実績)ですよね。
その進捗や達成率を表やグラフにして、壁に張り出している会社も多いはず。
目を背けたくなるときもありますが、営業マンであれば常に意識していると思います。
ところで、あなたの営業成績(実績)を方程式であらわすとどうなるでしょうか。
実は、営業成績は簡単な方程式で表すことができます。
販売数や販売件数が求められているのであれば
❶ 販売数=商談数 × 成約率
(注)商談数は初回面談数 以下同様
売上の実績が求められているのであれば
❷ 売上=商談数 × 成約率 × 平均単価
利益が求められているのであれば
❸ 利益=商談数 × 成約率 × 平均単価 × 平均利益率
というようになります。
さらに既存顧客の売り上げを加味するときは、これらの式にリピート率を加えますが、今回は省略します。
これらの数式は1ヶ月とか半期とか年間といったように期間を設定してデータを算出します。
例えば、フルコミの外資系保険会社であれば、営業職の報酬は年間の保険料を元にしたコミッション制(手数料制)なので方程式は、
報酬=商談数×成約率×平均年間保険料×平均手数料率
となり、項目名は少し変わりますが、❸の算式が当てはまることになります。
しかし、一概に営業といっても様々なので、上記の方程式には当てはまらないケースもあると思います。その場合は頭を使って方程式を導き出してください。
【営業の方程式】
- 販売数 = 商談数 × 成約率
- 売上高 = 商談数 × 成約率 × 平均単価
- 利 益 = 商談数 × 成約率 × 平均単価 × 平均利益率
営業の方程式が意味すること
この方程式から何がわかるのでしょうか。
例えば、昨年の実績が1,000という予算に対して650で終わっているとします。
もし、今期予算を達成しようとすると昨年の約1.5倍の実績を出さなければなりません。
あなたならどうやって達成しようと思いますか?
よくありがちなのが、1.5倍の実績を出すには、昨年の1.5倍ハードに頑張らなければならない、という漠然としたイメージを抱くことです。
そうなると「とてもじゃないけど、無理」ってことになってしまいがちです。
これを営業の方程式で考えるとどうなるでしょう。
この方程式をよく見ると、すべてかけ算になっています。
売上げを1.5倍にしたいのであれば、例えば、商談数、成約率、平均単価の各項目が15%、つまり1.15倍にするだけでも実績はほぼ1.5倍になります。
ただ1.5倍頑張るという曖昧なイメージとは違い、「これならできるかも」という感覚が持てるはずです。
この感覚は成功期待感といい、非常に重要です。
成功期待感がなくなってしまうと、あきらめモードに陥ってしまいます。
目標達成するためのロジックを理解することで、ゴールまでの道筋が見えるようになり、成功期待感を持って営業に取り組むことができるようになります。
営業をデータで確認する
過去の数値を集計する
営業の方程式を理解したところで、今度はあなたの過去の活動結果から「商談数」「成約率」「平均単価」「平均利益率」を割り出してみましょう。
僕がいた外資系保険会社では、これらの個人データやキャリア別の平均値などは、期間ごとに配信されるレポートでいつでも確認することができました。
しかし、会社によってはそうしたシステムのないところもあると思います。
その場合は自分でデータを集計する必要があります。
商談数などは日報などを見て数えるだけですが、成約率や平均単価、利益率などは計算する必要があります。
- 成約率=成約件数÷商談数
- 平均単価=総売上高÷成約件数
- 平均利益率=総利益÷総売上高
スコアラーになったつもりで、日報や活動結果表、あるいは手帳などを使って必要なデータを集計し数値を割り出していきます。
少し手間暇かかりますが、自分で集計をしたり計算したりすることで、より多くの気づきが得られると思います。
できれば直近の6ヶ月くらいの期間で集計してみましょう。
営業は結果に至るまでに時間を要するので、期間を区切ると多少のズレが生じますが、ここでは細かいことは無視してもらって構いません。
さて、実際のデータとあなたの認識(感覚)は一致していたでしょうか、それとも意外な発見があったでしょうか。
いずれにして、それが今のあなたの「営業のスコア」ということになります。
目標額は逆算して考える
では、今度は達成したい目標額を設定してシミュレーションしてみましょう。
つまり、目標額から逆算して考えるのです。方程式が成り立つように数値を自由に入れてみてください。
例えば、売上目標を達成するのであれば、商談数(A)、成約率(B)、平均単価(C)に実現可能な範囲で数値を入れてみます。
売上目標 = 商談数(A)× 成約率(B)× 平均単価(C)
いろいろとシミュレーションすることによって、どうなれば目標が達成できるのかが見えてきます。これが目標達成に必要なことなのです。
同時に、先ほど算出した自分のデータと比較して、どの数値をどれくらい改善すれば目標が達成できるのかを考えます。
こうしたシミュレーションを通して、ただ頑張るのではなく、成約率を◯%にする、平均単価を◯円にする、など具体的な課題を見つけることができるはずです。
自分の課題を検証する
数値を左右している要因を考える
ところで、これらの数値を左右している要因は何でしょうか?
ここでは一般的な要因を挙げてみます。利益率は自分でコントロールできないことが多いので省略します。
商談数が少ない
- アプローチ可能な見込客リストの数が少ない
- 見込客リストの質が悪い
- アポ取りのスキルが低い
- 営業活動以外の業務に時間が取られている
- サボっている(汗)
成約率が悪い
- 営業スキルが未熟である
- 商品知識、業界知識が足りない
- マーケットの質が悪い、または相性が悪い
- 決定権者と商談できていない
平均単価が低い
- マーケットの質が悪い
- 価格に対してメンタルブロックがある
- 御用聞き営業、またはお願いセールスをしている
- 営業に罪悪感を持っている
何が要因になっているのかは、業界によっても営業形態によっても変わってきます。
あなた自身の問題は何か、課題は何か、それを自分でじっくりと検証してみましょう。
トップ営業マンは成約率が高い
商談数、成約率、平均単価、平均利益率。
どれも営業の方程式を構成する重要な指標です。
ですから、どの指標が重要なのかは一概には言えません。
ただ長年にわたって様々な営業マンと関わってきた経験から言うと、売れ続ける営業になれるかどうかの最大のポイントは「成約率」にあると思っています。
事実、トップ営業マンは成約率がとても高いのです。
営業の世界には量が結果を生むという神話が根強くあって、成約率より活動量(商談数)だ、という考え方の人もたくさんいます。
もちろん間違ってはいません。行動しなければ結果は出ないからです。
それでもなお、成約率を上げることが何よりも重要だと僕は考えています。
なぜ成約率が重要なのかというと、営業マンのモチベーションと直結しているからです。
成約率が低いと商談に自信が持てなくなります。
すると次第に積極性がなくなり、結果的に商談数も減ってきます。
商談数が少なくなると積極的に顧客をリードできなくなり、さらに成約率が下がるという負のスパイラルに陥りやすいのです。
しかし、成約率が上がってくると、このスパイラルはプラスに転じます。
営業では積極的な姿勢が何よりも大切です。
成約率はその積極性に大きく影響するのです。
成約率が上がると、何よりも営業が楽しくなってきます。
ぜひ、自分の成約率を意識してみてください。
まとめ
営業の仕事は文系出身者が多いですよね。
けれども、営業マンは理系的な視点を持つべきだと僕は考えています。
実際、僕がいた外資系保険会社でも、ノリとセンスとフットワークだけで営業するタイプよりも、理系脳を持った営業マンの方がはるかに好業績でした。
営業を方程式で考え、自分の営業をデータで確認することで、曖昧だった課題を明確にすることができます。
ぜひトライしてみてください。