とにかく、結果を出せ!
こんな上司も、今の時代、少なくなってるかもしれませんね。(まだいる?笑)
とはいっても、やっぱり売れていないと、営業は結構つらい仕事です。
上司の目、後輩の冷ややかな態度、肩身の狭い営業会議、見たくない営業ランキング…
ため息つきたくなる気持ちもよく分かります。
しかし、解決するには、やはり生産性を上げて結果を出すしかありません。
では、どうすれば生産性が上がるのでしょうか?
確かに、どれも非常に大切です。
しかし、数多くの営業マンの育成や、トレーニングをしてきて気づいたことは、もっと単純なことです。
それは、「スピード感」です。
結論から言うと、結果が出ない人は「遅い」のです。
個人的には、これが目標達成するための、最大の障害だと思っています。
「遅い営業マン」から脱却すること。それが売れる営業マンに変身するための最短ルートなのです。
Contents
生産性とはスピードのこと
年間の売上予算が、1,000万円の仕事があったとします。
営業マンのA君は、見事に1,000万円を達成。
一方で、営業マンのB君は500万円という残念な結果で終わったとします。
さて、この2人は何が違うのでしょうか。
もちろん、その理由はわかりません。
単純に、A君は「売れている」、B君は「売れていない」ということですか、少し視点を変えてみましょう。
B君は、本当に売れていないのでしょうか?
実は、決して売れていないわけではありません。
事実、500万円売っています。
そして、B君も1,000万円を達成することはできます。
ただし、それには2年の歳月が必要だ、ということ。
理由はさておき、「スピード」の問題だということは、一目瞭然です。
結局、「売れていない」という結果は、営業スキルや知識の問題というより、ただ仕事が「遅い」というだけなのです。
この「遅い」について、もう少し具体的に考えてみましょう。
スピードには2種類ある
仕事に求められるスピードには、次の2つがあります。
- 速い(Fast) … 処理能力
- 早い(Early)… すぐやる力
言うまでもなく、どちらも重要、
なんですが、
意識すべきは、早い(Early)の方です。
実は、仕事のできる人と、そうでない人の違いは、始めの一歩を踏み出す「早さ」にあります。
つまり、ものごとに取り掛かる早さが違うのです。
いくら仕事を処理するスピードが速くても、それを先延ばしにしているなら、意味がありません。
このスピード感覚は営業マンによって違うのですが、厄介なのは、自分は「遅い」ということに、なかなか気づきにくいのです。
この「早さ」には、極端な「差」があるわけではありません。
しかし、このちょっとした「差」が、想像以上の大きな結果の「差」になってしまうのです。
なぜなら、ちょっとした一歩の遅れが、次々と「負の連鎖」を引き起こすからです。
実は、できる営業マンは、このことを体で理解しています。
仕事において、この「ちょっとくらい」はバカにできません。
「一本の釘が足りなかったために」という話を、聞いたことがないでしょうか。
釘が一本足りなかったために、蹄鉄が失われ
蹄鉄が一つ足りなかったために、ウマを用意できず
ウマが一頭足りなかったために、騎手が乗れず
騎手が一人足りなかったために、戦に負け
戦一つに負けたために、王国が滅びたすべては、たった一本の釘のために
ー ベンジャミン・フランクリン ー
ちょっとした遅れがもたらす「負の連鎖」、その代表的なものを3つ挙げてみます。
- ひとつ遅れが、次の遅れを生む
- 仕事が重くなり、未完了を生む
- クロージングできない体質になる
ひとつ、ひとつ見ていきましょう。
ひとつの遅れが、次の遅れを生む
高速道路などでよく出くわす交通集中による自然渋滞。
これは、先を走る数台のクルマのちょっとした減速が、後続車に次々とブレーキを踏ませ、最後には止まってしまう、というメカニズムによって発生します。
これと同様なことが、仕事でも起こっています。
社長さんはいらっしゃいますか?
月曜日まで戻りませんが…
(しまった、昨日電話すればよかった)
初動のちょっとした遅れが、次の遅れを生み、それがさらに次の遅れを生んでいくという「負の連鎖」は、そこら中で起こってます。
実際、テレアポを今日するのか、明日するのかというたった1日の違いが、成約や受注になるときには数週間の差になっている、なんてことはザラです。
それだけではありません。
あと一歩遅かったためにチャンスを逃してしまう、といったことも起こっています。
これが、一生懸命に仕事はしているのに、生産性が上がらない大きな要因なのです。
仕事が重くなり、未完了を生む
仕事には「重さ」がある
仕事には「重さ」があります。
もちろん、物理的な重さがあるわけではありません。
俗にいう、「気」が重い仕事と、軽い仕事、というやつです。
最初から、ヘビー級の仕事もありますが、ありがちなのは、もともと軽かったはずの仕事を、自ら気の重い仕事にしてしまうパターンです。
不思議なもので、仕事は先に延ばすと、その重量が増していきます。
その結果、「ま、後でいいか」が、「ま、明日でいいか」になり、さらに「ま、来週でいいか」というパターンに陥るのです。
未完了がメンタルを下げる
完了していない仕事のことを、「未完了のタスク」と言います。
仕事というのは、いったん取り掛かってしまえば、ある程度までは進みます。
そして、余程のことがなければ、そのまま完了します。
裏を返せば、ちゃんと「最初の一歩」を踏み出していれば、未完了のタスクは生まれない、ということです。
この未完了のタスクが厄介なのは、それが蓄積していくと、メンタルに影響を及ぼすようになってしまうことです。
長雨を降らす梅雨前線のように、気分が停滞してしまうのです。
メンタルが下降トレンドになると、それがまた新たな未完了を生むという悪循環を引き起こし、ますます脱出が困難になっていきます。
クロージングできない体質になる
これは、前述の2つとはすこし毛色が違います。
過去、多くの営業マンを見てきましたが、そこに不思議な傾向があることに気づきました。
それは、
- 「遅い営業マン」は、クロージングができない
- 「早い営業マン」は、クロージングが当たり前
クロージングというのは、決断を促す(もしくは迫る)という行為です。
ところが、遅い営業マンはここで矛盾に直面します。
というのも、自らも決断するのが苦手なタイプが多いからです。
自分ができないこと、苦手なことを相手に求めるということは、なかなかできることでありません。
これは、あくまでも推測ですが、遅い営業マンは、決断できない見込客の気持ちに同調しやすいのだと思います。
一方で、スピード感のある営業マンは、自分が即断即決型なのでクロージングに対してあまり抵抗がありません。
これは性格だ、という人もいますが、ほとんど関係ないと思います。
実際、クロージングができなかった営業マンが、スピード感覚を身につけることによって、自然にできるようになったという事例を何人も見てきました。
クロージングが苦手だ、という人はここに問題があるのかもしれません。
「最初の一歩」は二者択一
ここまで、最初の一歩が遅れから始まる「負の連鎖」についてみてきました。
結局のところ、「いつやるのか」ということなのですが実際はもっとシンプルです。
実は、突き詰めると次の2つの選択しかありません。
- 今すぐやる
- あとでやる
人の行動というのは、常にこの二者択一の結果です。
そして、意識的にせよ、無意識にせよ、どちらを選択したのかによって結果が変わります。
仕事は「いつやるか」ではなく、「今か」「後か」の二択なのだ、という思考回路が必要です。
たとえば、「今日中にやります」とか「今週中にやります」というのも、単に「今はやらない」という決断をした、ということなのです。
後でやるのであれば、それが明日であろうが、来週であろうが、結果的にはあまり変わりません。
なぜなら、そのときが来ても、また先延ばしにする可能性が高いからです。
すぐやるべきことは何か?
今すぐやる、とはいっても、すべてをやるのは無理です。
ここで、よく出てくるキーワードが「優先順位」なのですが、本当のところは、あまり考える必要はありません。
なぜなら、営業において、優先順位の高いことは決まっているからです。
それは、
コンタクトを取ること
です。
「コンタクトを取る」とは、見込客や顧客と接触すること。
極端に言うと、これ以外のことは、すべて後回しでもオッケーです。
具体的には、たった2つ。
- すぐに連絡する
- すぐに会いに行く
実は、売れている営業マンと、売れていない営業マンのもっとも大きな違いは、「ここ」にあります。
これは数多くの営業マンを見てきた経験上、間違いありません。
営業では、アポイントを取る、回答する、確認を取る、告知する、などコンタクトを取る場面が数多くあります。
残念な営業マンは、このコンタクトを取るのが、ワンテンポ(もしくはそれ以上)遅いのです。
あれこれ考える前に、とにかくコンタクトを取る。
これを意識して実践するだけで、間違いなく結果は変わります。
ここで押さえておくべきポイントを3つ挙げておきます。
- 「今すぐやる」という技術はない
- 「まず、~してから」を封印する
- 「即断即決」を意識する
「今すぐやる」という技術はない
「今すぐやる技術」「先延ばしをしない方法」といったテーマの本や情報は、巷に溢れています。
確かに、そこから学べるノウハウはあるのかもしれません。
しかし、あくまでも私見ですが、そうした技術や方法を探している時点で、すでに先延ばしモードに入っています。
「今すぐやる」のに、スキルや知識はまったく必要ありません。
ここでも、性格を持ち出す人もいますが、まったく無関係です。
「今すぐやる」ためのコツは、ただ「今すぐやること」以外にはないのです。
「まず、~してから」を封印する
仕事に取り掛かるときに、「まず、~してから」と言う人がたくさんいます。
「まず調べてから」「資料を作ってから」「本社に確認してから」「机を片付けてから」「昼ご飯を食べてから」…etc
はっきり言いますが、これらの多くは「逃げ」です。
「まず、〜してから」という考えが浮かんだときには、それを先にやる必要が本当にあるか、自問自答してみましょう。
「少しでも後で」と、先延ばししている自分に気づくはずです。
「即断即決」を意識する
「クロージングができない体質になる」のところでも言いましたが、すぐに取り掛からず、後回しにする人の特徴は、「即断即決」ができないことです。
即断即決しない人のことを、「優柔不断」と言います。
- 即断即決…間髪入れずに決断すること
- 優柔不断…ぐずぐずして決断しないこと
おそらくですが、人というのは優柔不断がデフォルト、つまり普通なのです。
なので、即断即決は意識しないとできないことが多いのです。
特に、管理職になってキャリアップしていくには即断即決力は必須です。
この即断即決は日常の中でトレーニングしてみましょう。
人は、朝から晩までさまざまな「選択」をしています。
着る服を選ぶ、メニューを選ぶ、商品を選ぶ…
こうした「選択」の場面で、素早く決断する習慣を身につけるのです。
もちろん、失敗することもありますが、それが本当の学習です。
個人的には、即断即決は、営業に限らず、人生そのものを好転させるもっとも重要な要素だと思っています。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
営業活動とは何か、というと、もともとは、
❶ 電話する、❷ 会う、
の2つしかありませんでした。
今は、メールや、オンライン面談などもありますが、基本は同じです。
営業とは、「コンタクトすること」なのです。
コンタクトを取るスピードが、結果を大きな左右します。
提案書や見積りを作成する、資料を作る、事務処理をする、会議に出る、研修を受ける、などは、どれも営業活動ではありません。
営業マンにとって、これらは「仕事」ではなく、「作業」です。
何を差し置いても、真っ先にコンタクトを取ること。
たったこれだけのことで、間違いなく結果は変わります。