見込客の集中を切らさないこと
商談において、営業マンが意識しなければならないことは、まずこれです。
その理由は単純です。
なぜなら、見込客が集中してくれなければ何も伝わらないからです。
極端にいうと、商談がうまくいくかどうかは見込客しだい、ということです。
優秀な営業マンは、商談の最初から最後まで見込客の集中を切らせません。
その中でも特に彼らが意識しているのが、商談のスタートです。
どれだけ理路整然と説明ができても、どれだけわかりやすい資料を作っても、そもそも見込客が聞く姿勢になっていなければ何も伝わらないのです。
とはいっても、むずかしい技術は必要ありません。
この記事では、その簡単な方法についてご紹介します。
Contents
まず聞く姿勢にさせること
繰り返しになりますが、商談のカギを握るのは見込客の集中力です。
なので、常に考えなければならないことは、いかに最後まで集中してもらえるか、です。
その最大の山場は、商談の最初にあります。
理由は2つあります。
- 聞く気満々の見込客はいない
- 最初の数分で判断される
そもそも、大前提として、「よし、今日は集中して聞くぞ!」なんていう奇特な見込客はまずいません。
つまり、デフォルトは聞く姿勢ではないということです。
この状態のまま営業マンが話を進めても、結局「勉強になりました」とか「また機会があれば」といったお決まりのフレーズを聞かされるだけです。
しかも、見込客は話を聞くだけの価値があるかどうかを、最初の数分間でほぼ判断してしまいます。
もし、ここで興味関心が湧かなければ、あっという間に集中が切れてしまいます。
なので商談の最初に、最低でも「じゃあ、ちょっと聞いてみるか」という姿勢にもっていくことが何よりも重要なのです。
実は、トップクラスの営業マンは、これがズバ抜けてうまいのです。
一方、ほとんど営業マンは、まだ聞く姿勢になっていない見込客に、何かの説明を始めたり、ヒアリングをしたりしています。
まずは聞く姿勢になってもらうこと。
ここでは、簡単にできる2つの手順をご紹介します。
- 地図を提示する
- オファーを出す
❶ 地図を提示する
あたりまえのことですが、商談に臨んだ見込客はこれから何が始まるのかはわかっていません。
ただ、営業される、売り込まれる、と予測して身構えているだけです。
当然、営業マンもそれには気づいているので、「売り込みではありません」とか、「説明を聞いてもらうだけで結構です」などと言うのですが、営業=売ってなんぼの世界、ということは世間にバレているので余計に警戒されるだけです。
まず最初に、これから何が始まるのかを示してあげましょう。
つまり、地図を提示して「今日はここからここまで行きますよ」と伝えてあげるのです。
伝えることは次の4つです。
- 何の地図なのか
- どこまで行くのか
- どれくらいかかるのか
- その結果どうなるのか
何の地図なのか
まず、今日のテーマは何か、何について話をするのか、などをはっきりと伝えるようにしてみましょう。
ちょっと意識してもらいたいのは、「数で示す」ということです。
たとえば、
- 「お伝えしたいことは3つです」
- 「2つの切り口でご説明します」
地図を示すのは、初回のアプローチであっても、プレゼンであっても同じです。
たったこれだけのことでも、やる、やらないで見込客の集中度合いには大きな差が生まれます。
どこまで行くのか
見込客は、商談がどこまで進むのかがわからないとなかなか警戒心が解けません。
なので、商談がどこで終わるのか、を伝えてあげましょう。
前述の「何の地図なのか」を伝えるときに、あわせて商談のゴールも伝えるのと自然な感じになります。
もし、1回の商談でクロージングまでもっていきたいときは、「最後にご意見をお伺いしたいと思います」とか、「ご判断を仰ぎたいと思います」と伝えておくとスムーズです。
どれくらいかかるのか
見込客に集中してもらうには所要時間も伝えておくことも大切です。
見込客によっては、どれくらい時間がかかるのかが気になって集中できないという人もいます。
アポイントを取るときに伝えているかもしれませんが、商談の最初に改めて伝えるようにしましょう。
その結果どうなるのか
商談が終わったときに、見込客がどうなるのか、何が得られるのかを伝えることによって、見込客の興味・関心を引きつけることができます。
もちろん、「こうなりますよ」という限りは、そうなるような話をする必要があることは言うまでもありません。
❷ オファーを出す
基本的に見込客は営業マンの指示に従います。
たとえば、「このグラフをご覧ください」と言うとグラフを見ますし、「話を聞くだけで結構です」と言うと聞くだけで終わります。
なので、見込客にしてもらいたことは最初にオファーを出して、イエス(同意)をもらえばいいのです。
ここでは2つのオファーを紹介します。
- フラットに聞いてもらう
- 次回の商談につなげる
フラットに聞いてもらう
見込客というのは、すで話を聞く前にいろいろな情報に触れたり、経験したりして、良くも悪くも先入観を持っています。
そのまま話を聞いてもらっても、素直に聞いてもらえない可能性があります。
それはそれとして、フラットな状態で聞いてくれるようオファーを出しましょう。
たとえば、「15分だけ集中してもらえますか?」とか、「先入観なしで聞いてもらってもいいですか?」などです。
実際にやってみればわかりますが、見込客は何の抵抗もなく「いいですよ」と同意してくれます。
そして、この同意を得るだけで不思議なことに見込客は変な先入観を捨てて聞いてくれるようになります。
見込客にフラットな状態になってもらってから商談に入ることは、思っている以上に大きな効果があるのでぜひ実践してみてください。
次回の商談につなげる
最初に、このように振って同意をもらっておくと見込客はその姿勢で聞いてくれます。
そして、商談が終わったあとのクロージングもごく自然な形でできるようになるはずです。
これはプレゼンの際にも使えます。
この同意を得ておくと、スムーズな流れでクロージングができるようになるはずです。
応用編・つかみを準備する
ここまでご紹介した方法は、事前にトークを準備しておけばそれほどむずかしくはないと思います。(もちろん、慣れは必要です)
そして、見込客も警戒心を解き、それなりに聞く姿勢になってくれるはずです。
ただ、ぐっと前のめりになってもらうために、もうひと工夫してみましょう。
そのために必要なのは、やはり問題提起、つまり「つかみ」です。
どうやって「つかみ」を作ればいいのかわからない人は、次の3つの切り口で考えてみるといいと思います。
- 共感(相手の図星を突く)
- 意外性(驚きの事実)
- 脅し(不利益に見舞われる)
共感(相手の図星を突く)
見込客の「そうそう!」とか「え、なんでわかったの?」といった反応がもらえるような投げかけをしてみましょう。
「こんな経験ありませんか?」とか「こんな悩みがありませんか?」と投げかけるTVショッピングでよく見るパターンです。
ベタな方法ですが、相手の図星を突けるとグッと話に引き込むことができます。
意外性(驚きの事実を出す)
見込客が知らないことで、なおかつ意外性がある事実を提示するパターンです。
多くの人が勘違いしていることや、無関心なことの中に使えるネタがないか探してみましょう。
脅し(不利益に見舞われる)
人は、得をしたいという欲求よりも、損をしたくないという欲求の方がはるかに強いということは、営業マンであれば知っていると思います。
それを問題提起にして投げかけるパターンです。
ただし、場合によっては見込客を不快にさせるので内容や伝え方には注意が必要です。
まとめ
営業では、どうやったら集中して話を聞いてもらえるかを常に考える必要があります。
営業マンが話したいことを、熱を込めて話したからといって、見込客は集中してくれるわけではありません。
特に商談のスタートは重要なポイントです。
まず聞く姿勢になってもらうこと、すべてはここからです。
今回ご紹介したものは、準備さえしておけば誰にでも簡単にできるものです。
ぜひ実践してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。