営業スキル

成約率をアップする!商談で陥りがちな4つの原因とその対策

「アカン、大どんでん返しやん」

「ええっ、契約するって言うてたのに」

とまあ、ときたまこんな叫び声をあげている、”失注”営業マンがいますよね(笑)

残念ながら、これは大どんでん返しでも、ノリノリだったわけでもありません。

俗にいう「読みが甘い」というやつです。

「読み」とは、成約になるかどうかの見立てのこと、つまり営業マンが商談で感じた「手応え」みたいなものです。

どこの現場にも、この「読み」を外さない営業マンと、外してばかりの営業マンがいます。

この差は、いったいどこにあるのでしょうか。

読みが外れたということは、営業マンと見込客との間に「温度差」があった、ということは間違いありません。

これは、センスや感受性だけの問題ではありません。

この記事では、「なぜ温度差ができるのか」という要因を探ることで、この問題を解決していきたいと思います。

なぜ「温度差」ができるのか

優秀な営業マンは、商談中、何に集中しているでしょうか。

それは、「見込客のアタマの中」です。

そこには、

「へえ、そうなんや、」
「それってホンマなんか?」
「うん、確かにね」
「そうは思わんけどなあ」

など、さまざまな「考え(思考)」が現れ、それに合わせて「感情」も動いています。

彼らは、それを読み取ろうとしているのです。

これが見込客との間に、それほど大きな「温度差」ができない理由です。

一方で、それがなかなか読めない営業マンがいます。

ここでは、その要因を4つ挙げてみます。

  • 見込客をみていない
  • 見込客の言葉を鵜呑みにする
  • 自ら答えを言ってしまう
  • 雰囲気だけで判断してしまう

見込客を見ていない

パッと見ただけで、その人の心が読める人はいません。(おそらくですけど)

人の心が読むのが上手い人は、相手の「反応」「変化」を読んでいるのです。

これは、商談でも同じこと、つまり商談で必要なのは「観察力」です。

優秀な営業マンは、商談の初めから最後まで、五感を総動員して見込客を観察しています。

何を観察しているのかというと、

  • 姿勢の変化や動き
  • 目、目線の動き
  • 表情の変化
  • 声や間合いの変化

などです。

もし、ちょっとでも「異変」に気づくと、即座に手を打ちます。

こういうと、高度な心理テクニックみたいですが、誰もが持っている能力です。

この中で特に注意して欲しいのは、見込客の「目」の動きです。

目は心理状態がストレートに現れる「露出した脳」と言われています。

目の動きを注意して見ていれば、集中、注意散漫、興味津々、無関心、などは、なんとなくわかるはずです。

しかし、多くの営業マンは見込客を視界には捉えていますが、実際にはちゃんと見ていません。

それは、意識が自分に集中しているためです。

「次に何を話そうか」とか「どう話そうか」ばかりに集中していると、見込客を見ることはできないのです。

見込客の言葉を鵜呑みにする

僕は、読みが外れる最大の要因はこれだ、と思っています。

結論から言うと、見込客の言うことは良いことも悪いこともほとんどが「嘘」です。

「嘘」とは言っても悪意のある嘘ではありません。

逆に、営業マンを傷つけたくない、という「善意の嘘」なのです。

その善意を真に受けてしまうと、そこに温度差が生まれてしまうのです。

たとえば、

「今は、余裕がないのよ」
「すぐ必要じゃないね」
「他社に知り合いがいてね」

これで、「アカンわ」と戦意喪失してしまう営業マンは、間違いなく商機を逃しています。

本当は、余裕はあるし、必要だと思っているし、他社に知り合いはいないのです。

しかし、それよりも問題なのは、見込客に”心地よいこと”を言われたときです。

たとえば、

「なかなか良い商品やん」
「今の担当がイマイチでね」
「ぼちぼち買い替えかな」
「前向きに考えるわね」

ここで、「よっしゃー!」と、心の中でガッツポーズしてしまうタイプの営業マンは、かなり危険です。

言葉を鵜呑みにすると、その真意を深く掘り下げることがなくなります。

そのため、見込客との温度差に気づけないのです。

これとよく似ているのが、次の「雰囲気だけで判断してしまう」です。

雰囲気だけで判断してしまう

売れてる人は、”ネガティブ思考”

売れない人は、”ポジティブ思考”

これは、”営業マンあるある”なのですが、もちろん、性格のことではありません。

商談に対する「見立て」です。

前述の「見込客の言葉を鵜呑みにする」にも通じるのですが、多くの営業マンは、商談の雰囲気だけでポジティブな判断をし過ぎです。

話が弾んだ、対応が良かった、笑いがあった…

もちろん、雰囲気は非常に重要です。

しかし、それだけで「これはいける!」と思ってしまうのは、どう考えてもポジティブ過ぎです。

こうなると、見込客に対する警戒心や緊張感が緩んでしまい、結果的に詰めの甘い営業になってしまいます。

たとえば、

  • 次のアポイントを確定しない
  • 確認すべきことを確認しない
  • クロージングが甘い

といったことが起こります。

また、いったんポジティブなメガネをかけてしまうと、見込客が出した不穏なサインに気づいても、「いや、そんなはずはない」と瞬時にスルーしてしまいます。

優秀な営業マンは、契約書にサインをもらうまで、あるいは入金があるまでは絶対に気を抜きません。

意外に思うかもしれませんが、彼らは、商談の進捗を常にネガティブな目で見ているのです。

自ら答えを言ってしまう

保険営業の新人だった頃、毎朝ロープレさせられていたのですが、当時のボスに何度も突っ込まれたのが、

「答えを言うな、相手に言わせろ」

でした。

生命保険であれば、「必要ですね」とか「不安ですね」などを、営業マンが言うな、ということです。

 

営業マン
営業マン
生命保険がなかったら、やっぱり不安ですよね
見込客
見込客
ええ、まあ、そうですね…

 

肝心なことを、営業マンが言ってしまうと、結局、見込客の本心がわかりません。

ちなみに、営業の世界には、見込客の「YESを取れ」という意味不明な神話があります。

これを信じて、「はい」としか答えようのない質問で見込客を誘導する営業マンも多いのですが、その手口はほとんどバレてます。

「YES」は取るものではなく、もらうものです。

「臭い物に蓋をする」的に商談を進めても信頼されることはありません。

「温度差」をなくす方法

ここまで、見込客との間に「温度差」ができてしまう要因を見てきました。

これらを改善するだけで、かなり温度差は解消できると思います。

ここからは、さらに温度差をなくす方法をご紹介します。

頻繁に「確認」を取る

本音をつかむ、もっとも簡単で確実な方法は直接「確認」することです。

商談においては、自分の感覚だけに頼らずとにかく頻繁に「確認」を取るようにしましょう。

むずかしいトークは必要ありません。

  • ご理解いただけましたか?
  • 何か気になるところはありますか?
  • 正直、どう思われましたか?
  • 疑問に思うことはありませんか?
  • ご納得していただけましたか?

 

こうした質問に対する答えも鵜呑みにせず、その反応をよく観察します。

 

営業マン
営業マン
ここまではご理解いただけましたか?
見込客
見込客
あ、はい…
営業マン
営業マン
もう一度説明させていただきますね

意識して「間」をつくる

「間」をつくる重要性については、他の記事で何度も取り上げました。

「間」がない話し方をすると、見込客は黙って聞くしかないので、「反応」や「変化」が現れず、見込客の感情が読みづらくなります。

また、営業マンの方も見込客を観察するタイミングが取れません。

実は、「間」を取るだけで、たいていの問題は解決します。

ちなみに、「間」は自覚しにくいので、一度、ロープレを録画して観ることをお勧めします。

アポを取るときの反応を見る

見込客の本心が一番わかりやすいのは、次回のアポを取り付けるときです。

次回をアポを取る、というのはれっきとしたテストクロージングなのです。

したがって、このときの反応がもっとも信用できるです。

言葉だけではなく、声、表情、姿勢などの変化を見逃さないように集中します。

それによって、言葉が悪いですが見込客の「ハマり具合」がわかります。

営業マン
営業マン
では、また改めてお時間をいただきたいのですが、いかがでしょうか?
見込客
見込客
あー、はい…そうですね
営業マン
営業マン
(ハマってへんやん)

 

アポさえ取れれば「オッケー」にしている営業マンがいますが、それは「オッケー」ではありません。

ハマりが悪いと感じたときは何か手を打っておきましょう。

そのままだと間違いなくアポキャンになります。

「図星トーク」で白黒つける

見込客の反応がイマイチで、本音がよくわからないときは白黒をはっきりさせるのも一つの手段です。

白黒つけたいときは、「図星トーク」を使ってみましょう。(呼び名はテキトーです)

これは、「ホントはこう思っていますよね!」とストレートに切り込むトークです。

先ほどの例を使うと、

営業マン
営業マン
では、また改めてお時間をいただきたいのですが、いかがでしょうか?
見込客
見込客
あー、はい…そうですね
営業マン
営業マン
今はまだ必要ないな、という感じですね?

 

図星トークに対する見込客の答えは、YES、NOの2通りあります。

  • 「そうですね、すいません(YES)」
  • 「いいえ、違います(NO)」

「わざわざ断らせるなんて」と思ったかもしれませんが、そうではありません。

実は、見込客は多くの場合、どうしようかと迷っています。

図星トークは、それを決断させるためのテストクロージングなのです。

あいまいなままアポを取って商談を強引に進めても、結局、営業マンにとっても見込客にとってもメリットはありません。

しかも、実際にやってみればわかりますが意外なほど断られません。

これは、図星トークによって決断ができたということなのです。

使うのにはちょっとした勇気が必要ですが、ぜひ試してもらいたい方法です。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

「いける」と思っていた商談がダメになるのは、営業マンにとってかなりショックです。

これが続くと人間不信になったり、自信喪失に陥ったりします。

しかし、多くの場合、「読み」が外れていただけです。

見込客の心の動きをつかみ、温度差をなくすことで、期待していい商談と、そうでない商談の判断ができるようになります。

それだけでなく、成約率も大きくアップするはずです。

ぜひ、参考にしてみてください。

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