営業スキル

それNGです!嫌われる営業の「話の聞き方」5選

スポーツであれば、相手に「点を取られた」という事実はすぐにわかります。

ところが、営業では、失点しているのに気づかない、ということが起こり得ます。

なぜか相手との距離が縮まらない…

もし、こんな悩みがあるなら、思いもよらないところで「失点」している可能性があります。

それが、あなたのコミュニケーションの「癖」です。

実は、営業がむずかしいのは、結果を左右しているのが、見込客の「なんとなく」という感情だからです。

なんとなく、気に入らない…
なんとなく、その気にならない…

この「なんとなく」という感情は、営業マンに対するものと、商品やサービスに対するものの2つがあります。

しかし、なんといっても大きいのは営業マンに対するものです。

つまり、営業マンに対する「好き・嫌い」が商談の行方を決めている、といっても過言ではないのです。

この記事では、コミュニケーションの癖の中でも、見込客に嫌われる「話の聞き方」を取り上げます。

そして、それを簡単に解決できる方法を3つご紹介します。

聞き方が変わるだけで、見込客との会話は驚くほどスムーズになります。

「話をよく聞け」の意味

営業は話すよりも聞くこと

これはもう聞き飽きてるフレーズだと思います。

ところで、なぜ話をよく聞く必要があるのでしょうか?

この問いを営業マンにすると、だいたい次のような答えが返ってきます。

  • 見込客のニーズを探るため
  • 見込客の本音を聞き出すため
  • 見込客の感情をつかむため

つまり、見込客をよく理解するため、ということです。

もちろん「そのとおり!」なのですが、実はもっと単純です。

それは、

  • 話を聞く人は好かれる
  • 聞かない人は嫌われる

ということです。

ところで、なぜ人の話を聞く人は好かれるのでしょうか。

それは、人の話をちゃんと聞く人が世の中には圧倒的に少ないからです。

なので、自分の話を聞いてくれる、というだけで「この人、ステキ!」となるのです。

「聞いてます!」という姿勢

上司
上司
おいこら、ちゃんと話を聞けよ
営業マン
営業マン
えっ、聞いてるじゃないですか

ちゃんと聞いていたのに、聞いていないと思われる。

あなたにも、こんな経験があるかもしれません。

実は、ここに重要なポイントがあります。

それは、実際に聞いていたかどうかよりも、「話し手がどう感じたか」の方が重要だ、ということ。

「こいつ、聞いてないな」と思われたら終わりなのです。

しかし、残念ながらそういう聞き方をしている営業マンがたくさんいます。

ここでは、そうした聞き方の癖を5つ取り上げます。

自分の聞き方はどうか、ぜひチェックしてみてましょう。

無関心に見えてしまう

見込客に、「聞いてんのか?」と思われてしまう聞き方です。

ほとんどのケース、営業マンのリアクションに問題があります。

リアクションが薄い

会話のリアクションには、「うなずき」「あいづち」があります。

  • うなずき →  首を縦に振る動き
  • あいづち →  短い言葉の反応

リアクションが薄いの代表格は、「はい、はい」とか「なるほど、なるほど」など、ただ反射的に言葉を返してしまうパターンです。

多くの場合、「あいづち」がワンパターンで、しかもやってる本人はほぼ無自覚です。

当然、うなずき方も浅く反射的になりがちです。

こういうリアクションをされると、見込客はだんだん不愉快になってきます。

これは、「次に何を話そうか」に意識が向いていて、心ここに在らず状態になっていることが原因です。

特に、緊張したり、焦ったりしたときに、やってしまいがちなので注意が必要です。

話は「聞く」ものではありません。

「受け取る」ものだということを肝に銘じておきましょう。

リアクションが白々しい

これは、リアクションが薄いの逆です。

話を盛り上げようと意識するあまり、逆に胡散臭くなってしまうパターンです。

リアクションにも限度があります。

見込客
見込客
最近、英会話教室に通い始めたんですけどね
営業マン
営業マン
マジですか!すっごいじゃないですか!いやあ、さっすがクマさんですねー!
見込客
見込客
(いや、思ってへんやろ)

ノリのいい営業マンに良くあるパターン。

サービス精神旺盛なのはわかりますが、あまりにも白々しいリアクションは要注意です。

相手を持ち上げたり、ほめたりするときこそ「心からそう思っています」と伝わるリアクションを意識しましょう。

ちなみに、年上の人、目上の人に向かって、「さすがですね」という人がいますが、場合によっては、上から目線で評価されているように感じるのでやめたほうが賢明です。

フライングしてしまう

これは、見込客の話が終わらないうちに、しゃべってしまうパターンです。

残念ながら、大半の営業マンがやってしまっています。

フライングには次の2パターンがあります。

  • 話が終わったと早合点する
  • リアクションが早すぎる

話が終わったと早合点する

見込客の話が終わっていないのに、「終わった」と判断してしまうパターン。

電話のやりとりなどではよく起こります。

実は、見込客は話し終えたように見えても、まだ話そうとしていることが結構あるのです。

しかし、多くの場合、営業マンはそれに気づいていません。

これは結局のところ、

見込客の話す機会を奪っている

ということに他なりません。

商談では、完全に話が終わったのかどうか、見込客を注意深く観察するようにしましょう。

リアクションが早すぎる

見込客
見込客
手続きがちょっと複雑で、それが…
営業マン
営業マン
あー、わかります、わかります

これは見込客が話している途中で、リアクションを被せてしまうパターンです。

原因は、「わかった」と思った瞬間に、身体が反応してしまうことです。

しかし、商談は「早押しクイズ」ではありません。

何度もリアクションを被せると

「お前、ホントに聞いてんの?」

と、間違いなく思われます。

たとえ、話の先読みできたとしても、むやみにリアクションせず、最後までしっかり話を聞くようにしましょう。

会話を乗っ取ってしまう

マウントを取ってしまう

これは、いわゆる「会話泥棒」というやつです。

見込客
見込客
先日、家族でUSJに行ってきたんですよ
営業マン
営業マン
そうなんですか。実は僕、年間パスを持ってるんですよ

 

見込客
見込客
最近、飲み会が多いので嫁さんが不機嫌でね
営業マン
営業マン
僕なんか、家に入れてもらえなかったことがありますよ

なぜかこういう不毛なマウントを取ってしまう営業マンがいます。

おそらく話を盛り上げようとしたのかもしれませんが、100%嫌われます。

優秀な営業マンは、見込客に先を話すようにとそれとなく促しています。

彼らは、「会話の主導権を握る」と「主役の座を取る」は、まったく違うということを理解しています。

話のオチを横取りする

会話泥棒の中でも最悪なのは、話のオチを横取りするパターン。

まさに「THE・泥棒」です。

見込客
見込客
昨日、〇〇の映画を観に行ったんですよ
営業マン
営業マン
そうなんですか。
あれって、実は主人公は死んでいた、っていう話らしいですね

 

見込客
見込客
今朝、名神で名古屋に向かってたらビックリすることがあってね。
営業マン
営業マン
あ、あれですよね。
栗東あたりですごい多重事故があったんですよね

ここまでくると、もはや「犯罪」です。

ちなみに、もし自覚があるなら、社内でも浮いている可能性が高いので要注意です。

こうした癖は、簡単には治らないので、普段の会話でトレーニングしておきましょう。

話の腰を折ってしまう

これは、見込客が質問に答えている途中で割り込んで、話の腰を折ってしまうパターンです。

話の腰を折られた見込客は、気持ちよく話すことができません。

ここでは、2つの事例を挙げましょう。

途中で軌道修正しようとする

見込客は、たまに質問の意図から外れた回答をしてくることがあります。

そんなときに、

「あ、そういうことではなくて…」

と、割り込んで、軌道修正をしようとするパターンです。

しかし、これは単なる否定です。

見込客は心の中で間違いなくこう思っています。

「いや、お前の質問が悪いんやろ!」

こんなときは、話が終わってからあらためて質問し直すべきです。

途中で質問を被せてしまう

これは、見込客が質問に答えている最中に、さら質問を重ねてしまうパターンです。

見込客
見込客
担当には連絡しなかったんですけど、そうしたら…
営業マン
営業マン
なぜ連絡しなかったんですか?
見込客
見込客
え?それは…

確かに、話の途中で聞きたいこと、確認したいことは出てきます。

しかし、途中で割り込んで話の腰を折ってはいけません。

もしかすると、見込客は今からそれを話そうと思っているのかもしれません。

聞きたいことがあるなら、最後まで聞いてから質問しましょう。

ちょっと変わったパターンとして、まったく無関係な質問を被せてしまう営業マンもいます。

見込客
見込客
がん保険を考えてるんだけど…
営業マン
営業マン
あ、はい。あの、ちょっと暑くないですか?
見込客
見込客
え?いや別に、大丈夫だけど

これは、100%話を聞いていないと思われます。(実際、聞いていない)

ちなみに、僕はそんな営業マンに何度か遭遇し、話の腰を粉砕されたことがあります。

質問を投げかけたのなら、最後まで話を聞くこと。

それが当たり前のマナーです。

(意図的に無関係な質問をして話題を変えるハイレベルな話法もあるので念のため)

目線を逸らしてしまう

見込客が話をしているときは当然見込客を見ているはずです。

ところが、その目線が時々外れてしまう営業マンがいます。

すると、見込客はその目線の先が気になって集中できなくなってしまうのです。

特に最悪なのは、時計に目線を向ける営業マンです。

さりげなく見たつもりでも、見込客にはたいていバレています。

「時間がないから早く終われ」と言われているようで、一挙にテンションが下がります。

その結果、どうなるかは言うまでもありません。

ちなみに、目線だけでなく、話を聞きながらまったく無関係な作業をしてしまう営業マンもいます。

たとえば、手帳をめくる、資料を出す、スマホを触る、などです。

これらは、営業以前の問題です。

とにかく、見込客が話をしているときは、全身全霊で話に集中しましょう。

聞き方を改善する3つの方法

ここまで、嫌われてしまう話の聞き方の「癖」をみてきました。

ここからは、それを簡単に改善できる方法を3つご紹介します。

それぞれ効果は抜群ですが、できれば3つの合わせ技ができるようにしましょう。

その3つとは

  • 耳ではなく「目」で聞く
  • ちゃんとうなずく
  • 意識的に「間」をつくる

それぞれ、解説します。

耳ではなく「目」で聞く

耳ではなく、「目」で言葉を受け取る意識を持ちます。

それだけで、目が右往左往せず視点が定まるようになります。

また、「目は口ほどに物を言う」といいますが、まったくそのとおりで、関心、無関心、集中、散漫、自信、動揺などは、すべて「目」に現れます。

見込客の話を目で聞く意識を持つだけで、目の表情豊かになり、興味津々で話を聞いてる感じが伝わります。

コツとしては、

  1. 目に少し力を入れること
  2. 目でうなずく意識を持つこと 

目にほんの少し力を入れるだけで、目が開き、生き生きとした感じになります。

また、目でうなずく意識を持つと、自然に顔が上下に動き、次のポイントである「ちゃんとうなずく」も、楽にできるようになります。

ちゃんとうなずく

不思議なことに、ほとんどの営業マンは「自分はちゃんとうなずいている」と思っています。

確かに、「うなずき」はしていますが、その多くは無意識で反射的なものです。

そのため、うなずき方が浅く、せっかちな感じになりがち。

中にはニワトリみたいになっている営業マンもいます。

ちゃんとした「うなずき」とは、意識的に行うものです。

誤解を恐れずにいうと、これは「話を受け取ってますよ」という一種の演技なのです。

「ここ」というタイミングでは、意識的に深くうなずくようにしてみましょう。

慣れていないと、意外にむずかしいな、と感じるはずです。

しかし、意識的に繰り返していると、自然なかたちでできるようになります。

そして、それができるようになると、次のポイントである「間」ができるようにもなります。

意識的に「間」をつくる

これは、他の記事でも何度も取り上げていますが、とにかく会話に「間」をつくることです。

「間」をつくるだけで、コミュニケーションのレベルは格段に上がる、と個人的には思っています。

実は、多くの営業マンは、見込客の話に対する反応が早すぎるのです。

そのため、会話に「間」がありません。

しっかりと「間」を取って、考える時間、話す時間を見込客に提供するように意識することが大切です。

実は、「目で聞く」「ちゃんとうなずく」「間をつくる」は、すべて連動しています。

つまり、1つが改善すれば、他の2つもそれなりに変化するのです。

ただ、いきなり本番でできるものではありません。

こうしたコミュニケーションの改善は、普段の会話の中でトレーニングするのが、もっとも効果的な方法です。

ぜひ、チャレンジしてみてください。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

知識を習得する、セールストークを身につける。

営業マンの多くが頑張っているこれらは、スポーツに例えると「オフェンス」のための技術です。

しかし、実際の営業では、「ディフェンス」がとても大切になります。

今回取り上げた「話の聞き方」は、そのディフェンスのキーポイントなのです。

もし、「あ!」と思うところがあったのなら、ぜひ改善してみてください。

嫌われる話の聞き方

・無関心に見えてしまう
・フライングしてしまう
・会話を乗っ取ってしまう
・話の腰を折ってしまう
・目線を逸らしてしまう

 

こちらの記事も参考になると思います。

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